読書感想「やがて目覚めない朝が来る」

主人公の祖母はかつて大女優だった人。
薔薇に囲まれた洋館で祖母と母と暮らす有加は、
祖母に関わる一風変わった大人たちに囲まれて育っていく。

「ピエタ」の大島真寿美さんの作品です。
彼女の本を読むのはこれで二作目だけど、全然印象が違うので驚いた。
ピエタの時は、中世の時代の華々しさと強い影があったけど、これは本当に澄んだ空気のような作品です。
主人公の思い出語りのような形式で進み、ひとつひとつのシーンが、鮮やかでキラキラしている。

特に公園で父の告白を聞いているシーンで、どこを見ればいいのか分からなくなって、
迷い犬ばかり目で追っていたら、「犬の鳴く声と、父の語る声がまじりあって、
まるで、迷い犬の言葉を聞いているかのように感じる一瞬があった」
っていう表現は秀逸!この感性すごい!と思った。

面白いのは、主人公の語りであるのに、主人公自身の出来事があまり語られず、
周りの人たちの姿ばかりがくっきり浮かび上がっていること。
透明で澄んだ主人公は、周りを写す鏡みたいだなと思いました。

ただ大島さんの作品は、女性が魅力的である分、男性の影が薄いのが残念。
わざとそうしているのかもしれないけど。

「やがて目覚めない朝が来る」のタイトルの意味が分かった時、この言葉を呟いてしまう人が、
多いんじゃないかなと思います。私も好きな言葉になりました。

私にも、やがて目覚めない朝が来る。いつか。
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by moonish2 | 2013-02-09 22:21


生活に潤いと幕末があればそれでいい


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