読書感想「やがて目覚めない朝が来る」
主人公の祖母はかつて大女優だった人。
薔薇に囲まれた洋館で祖母と母と暮らす有加は、
祖母に関わる一風変わった大人たちに囲まれて育っていく。
「ピエタ」の大島真寿美さんの作品です。
彼女の本を読むのはこれで二作目だけど、全然印象が違うので驚いた。
ピエタの時は、中世の時代の華々しさと強い影があったけど、これは本当に澄んだ空気のような作品です。
主人公の思い出語りのような形式で進み、ひとつひとつのシーンが、鮮やかでキラキラしている。
特に公園で父の告白を聞いているシーンで、どこを見ればいいのか分からなくなって、
迷い犬ばかり目で追っていたら、「犬の鳴く声と、父の語る声がまじりあって、
まるで、迷い犬の言葉を聞いているかのように感じる一瞬があった」
っていう表現は秀逸!この感性すごい!と思った。
面白いのは、主人公の語りであるのに、主人公自身の出来事があまり語られず、
周りの人たちの姿ばかりがくっきり浮かび上がっていること。
透明で澄んだ主人公は、周りを写す鏡みたいだなと思いました。
ただ大島さんの作品は、女性が魅力的である分、男性の影が薄いのが残念。
わざとそうしているのかもしれないけど。
「やがて目覚めない朝が来る」のタイトルの意味が分かった時、この言葉を呟いてしまう人が、
多いんじゃないかなと思います。私も好きな言葉になりました。
私にも、やがて目覚めない朝が来る。いつか。
薔薇に囲まれた洋館で祖母と母と暮らす有加は、
祖母に関わる一風変わった大人たちに囲まれて育っていく。
「ピエタ」の大島真寿美さんの作品です。
彼女の本を読むのはこれで二作目だけど、全然印象が違うので驚いた。
ピエタの時は、中世の時代の華々しさと強い影があったけど、これは本当に澄んだ空気のような作品です。
主人公の思い出語りのような形式で進み、ひとつひとつのシーンが、鮮やかでキラキラしている。
特に公園で父の告白を聞いているシーンで、どこを見ればいいのか分からなくなって、
迷い犬ばかり目で追っていたら、「犬の鳴く声と、父の語る声がまじりあって、
まるで、迷い犬の言葉を聞いているかのように感じる一瞬があった」
っていう表現は秀逸!この感性すごい!と思った。
面白いのは、主人公の語りであるのに、主人公自身の出来事があまり語られず、
周りの人たちの姿ばかりがくっきり浮かび上がっていること。
透明で澄んだ主人公は、周りを写す鏡みたいだなと思いました。
ただ大島さんの作品は、女性が魅力的である分、男性の影が薄いのが残念。
わざとそうしているのかもしれないけど。
「やがて目覚めない朝が来る」のタイトルの意味が分かった時、この言葉を呟いてしまう人が、
多いんじゃないかなと思います。私も好きな言葉になりました。
私にも、やがて目覚めない朝が来る。いつか。
by moonish2
| 2013-02-09 22:21