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読書感想「ユージニア」

恩田陸先生の作品はじわじわくる。
伏せ字にされてますが、どこをどう読んでも、舞台は金沢です。

「この街では、水平線は近い。常に陸にのし上がる機会を窺っている。
 いつも見張られているようで、ちょっと目を離すと海から湿気が
 押し寄せてくるように感じたものよ。」

この閉塞感、ねちっこいくらいの都市描写が、すごくよく合っていました。

名家で催された米寿を祝う席で、 十七人が毒殺される事件が起きる。
生き残りは盲目の少女だけで、現場には不可解な詩「ユージニア」が残される。

すべてが霧の向こうにあって、つかめそうでつかめない感じが、
ずっと続いて、鮮やかな夏の印象が残る、美しい作品でした。

物語のキーワードとして出てくる「青い部屋」は成巽閣にある「群青の間」です。
ラピスラズリで壁が真っ青に塗られているのですが、
確かに日本家屋にあの青の部屋があると、一種異様な、ぞっとする気配もありますね。
神殿のような、近寄りがたい部屋ではあります。
子供の頃から知ってるから、特に何も感じなかったけど、
物語の題材にするにはうってつけの意味深な部屋だ・・・と改めて思いました。

余談ですが、成巽閣は冬に行くと受付で厚手の靴下を貸してくれる。
(廊下がものすごく寒いため)優しくて好き。
by moonish2 | 2011-09-12 15:36


生活に潤いと幕末があればそれでいい


by moonish2

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